盗撮で警察に通報され、家族に連絡があったら…動揺してしまい、どうすればいいかわからなくなるかもしれません。やるべきことを整理しましょう。
事実関係を確認する
まずは何があったのかを確認しましょう。警察は、事件の内容について説明する場合もありますが、具体的には説明してくれない場合もあります。
逮捕されていない場合は、数時間後には家に帰ってきます。その後に事情を聞いてみましょう。お子さんは、事件を起こしてしまったことで、申し訳ない、恥ずかしい、親に見放されたらどうしよう、責められたらどうしよう…といろいろと不安になっています。怒鳴りつけたりせず、ゆっくりと、何があったのかを聴いてあげてください。
逮捕された場合は、その当日に親御さんがお子さんに会うことは困難です。弁護士に依頼すれば、その日のうちに弁護士がお子さんに面会に行き、詳しい事情を聞いて、ご両親に説明して今後の対応を考えることができます。
弁護人を依頼
なるべく早めの段階で弁護人を依頼しましょう。
取調べでどんなことを聞かれるのか、聞かれたことに対してどうすればいいのか、試験が近かったり、大事な仕事があったりしたときに呼び出されたら行かなければならないのか、電話のあった警察官は威圧的な物言いだったが本当に子どもは大丈夫なのか…
弁護人がついていれば、こうしたことについて一緒に相談しながら進めていくことができます。親御さんやお子さんの不安はきっと小さくなるはずです。
被害者の方への謝罪と賠償(示談交渉)
こうした事件では、被害者の方への謝罪と賠償をどうするかを考えなければなりません。被害者の方に謝りに行きたくても、警察は相手に関する情報は一切教えてくれません。弁護人がついていれば、弁護士から警察に、被害者に連絡を取るよう依頼し、被害者の方が承諾してくれれば、弁護士と被害者との間で、謝罪や賠償についての話を進めることができます。
一般的には、どのような事件の場合でも、謝罪と賠償に関する連絡は早めに入れておいた方が良いです。加害者側の家族は、「相手はこちらと話したくないと思っているのでは」「賠償金を支払うといったら、金で解決する気か!と言われて怒りを買うのではないか」「相手は事件のことを忘れたいのではないか」等、被害者と連絡を取ることに消極的になることを考えがちです。しかし、被害者の方は、事件を起こしたのに謝罪の連絡がないことに怒りを感じている方は少なくありません。謝罪や賠償の連絡をすぐにしなかったことで被害者の方の感情を害する場合もあります。できるだけ早めにできるように弁護士と相談しましょう。
警察の取調べへの対応
お子さんが事件を起こしたことを認めていて、警察が把握している事情とお子さんの言い分が一致する場合は、比較的穏やかに取調べが進んでいくことが多いです。しかし、お子さんの言い分に、被害者や目撃者と食い違う点があったりすると、警察官は、お子さんの言い分を被害者の言い分に一致させようとして非常に厳しく追及することもあります。場合によっては、お子さんが話したのとは異なる内容が供述調書という書類に書き込まれ、お子さんがサインを迫られることもあります。
弁護人がついていれば、弁護人の立会を求めたり、立ち会わない場合でも取調の途中で取調を打ち切って弁護士と接見できるようにします。黙秘権を行使するのかしゃべるのか、ケースによっては供述調書に対して署名・押印拒否権を行使するかといったことについても検討して、お子さんと一緒に作戦を考えます。
再発防止のためのカウンセリングの実施
性的な欲求があることはおかしいことではありません。性的な欲求は、相手との合意の上で適切な形で表現されるなら問題はないのです。再発を防止するのは、性的な欲求を抑え込むことではありません。
捕まって叱られたから、警察の取り調べを受けるようなことになったから、家族にも散々迷惑をかけたからもうやらないだろう、とご家族としては思いたいでしょう。でも、それでおさまるかどうかはケースによります。欲求の適切なコントロールができなければ、また事件が起こる危険があることを考えておかなければなりません。
当事務所では、性暴力に対するプログラムを受けられる機関を紹介しています。また、当事務所でも、「回復への道のり パスウェイズ」https://www.seishinshobo.co.jp/book/b87861.html などを利用して、再発防止のためのワークに一緒に取り組み、その成果を家庭裁判所に報告するという取り組みを実施しています。
家庭裁判所調査官の面接の準備
事件が家庭裁判所に送られてしばらくしたら、家庭裁判所から、家庭裁判所調査官の面接に出頭するように求める書面が届きます。そのときに書いて持っていく必要のある書面なども送ってきます。
調査官の面接でどのようなことを聞かれるのか、どういう話をすればいいのか、面接の日までにどういう準備をしておけばいいのか、といったことについて、親御さんやお子さんと一緒に相談しながら準備を進めていきます。調査官との面接の際にも、付添人として同席します。
審判の準備
審判では、お子さんは、裁判官からいろいろな質問を受けます。なぜ事件を起こしてしまったのか、事件について今はどう考えているのか、被害者はどのように傷ついたのか、被害者はお子さんに対してどう思っていると思うのか、再発を防止するためにできることは何か、今後はどうやって生活していくつもりなのか、といったことについて詳しく尋ねられます。事前に何度も面接を繰り返して、お子さんが考えていることを十分に話せるように準備します。
審判にあたっては、調査官が意見書を提出しています。弁護士(家庭裁判所の手続では付添人と呼ばれます)も、お子さんの処分についてどのようにすべきかという観点から意見書を提出します。意見書は、お子さんやご両親と話し合い、考えたことについて裁判官に説明し、処分に反映させるように求めていきます。
できるだけの備えをしましょう
弁護士がつくことで、不当な取調べに対応したりするといったことに対応するのはもちろんですが、被害者の方への賠償を進めたり、お子さんが再び事件を起こさないように一緒に悩み考え、再発防止のための対策に一緒に取り組むことができます。是非、早めにご相談ください。