苦労話を聞かせてください

保護者にとって、子どもの非行について知るのはショックなことです。警察から連絡があって、ついに来たかと思っているかもしれません。これまで、学校や警察に何度も呼び出され、子どものことをけなされ、親のせいだと言われ、頭を下げることしかできず、もう疲れ果ててしまったかもしれません。

当番弁護士として少年と面会した後、ご両親に電話すると、「あいつはもう少年院にいれたらええんや!弁護士なんかいらん!」と怒鳴られることがあります。

そういうときも、なんとか話だけでもとお願いして、自宅まで押しかけて、時間をかけてお話を聞かせてもらいます。お話を聞いていると、壮絶な苦労話がでてきます。何もしないで手をこまねいていたわけではありません。お父さんやお母さんは必死だったのです。でも、これまでどうにもならなかったのです。

どんなに必死になってもどうにもならなかったことで、お父さんやお母さんたちは責められ続けて傷ついています。そういう台詞が出たのも無理もありません。私は、まずはその苦労を共感できる一人になりたいと思います。

何ができるか、一緒に考えませんか

でも、多くの非行は、16〜17歳をピークとし、それから20歳に向けて徐々におさまっていきます。ほとんどの子どもはいつか非行から離れて生活していくことができるのです。

警察や家庭裁判所に呼び出されることはつらいことかもしれませんが、みんなでお子さんの非行について、そしてお子さんの未来について考えることができる機会でもあります。

これから何ができるか、一緒に考えてみませんか。

お子さんのいいところを思い出すお手伝いをします

悪いことをして捕まったわけですから、まわりの人たちから、お子さんを悪く言われます。

安易に考え方をして悪い友達に流されやすいとか、かっとなりやすく感情がコントロールできないとか、性格の問題点はたくさん指摘されます。近隣には非行に誘う少年たちがいっぱいだとか、保護者には監護能力がないとかも言われたかもしれません。そんな、悪いことばかり指摘されてきたかもしれません。

ではお子さんはどうしようもない人間なのでしょうか。そんなことは決してありません。よく見れば、お子さんにはいいところがあるはずです。悪いことをする友達がたくさんいるのは、面倒見が良くて誰にでも好かれる性格だからではないでしょうか。夜遊びを続けていても、朝にはがんばって仕事に行っていなかったでしょうか。普段はお母さんに乱暴な言葉をぶつけていても、お母さんが体調が悪いときには気遣う優しさを見せたりしなかったでしょうか。

そういう、いいところを見つけることが、今後、どうやってお子さんに関わるのかのヒントになります。お子さんの良いところを思い出してください。一緒に見つけましょう。